60年代からブラジル音楽の本質を見抜いたラジオ番組として人気のラジオmec「MPB・ヂ・ハイズ」。この番組のナヴィゲーター:アデルゾン・アルヴィスがプロデュースしたサンバの真骨頂を堪能できるスペシャルな盤。ベッチ・カルヴァーリョやゼカ・パゴヂーニョが参加、アレンジは名手パウロ・セッチ・コルダス。
クララ・ヌニェスやジョアン・ノゲイラを”発見”した嗅覚、ルーツ・サンバのリズムへの造詣が深く自身の番組で数多くのサンビスタを採り上げスポット・ライトを当てて来た。番組「MPB・ヂ・ハイズ」の恩恵を受けたアーチストたち、そして若い連中へとルーツ・サンバの良さが継がれてゆくのもアデルゾン・アルヴィスの存在あってこそ。パウリーニョ・ダ・ヴィオラ、マルチーニョ・ダ・ヴィラ、ジョアン・ノゲイラに継ぐ存在としてアデルゾンやジョアン・ノゲイラがプッシュするアヂウソン・シウヴァはm-1とm-11の二曲で参加、m-2の美しいヴェーリャ・グアルダ・マンゲイラ讃歌にはベッチ・カルヴァーリョが、m-3はゼカ・パゴヂーニョによって音源化されたサンバ・ダンサー3人によるユニット - トリオ・カラフリオのパフォーマンスを、続くm-4は「MPB・ヂ・ハイゼス」のスポンサーであるノノォン・ド・ジャカレジーニョと女性シンガーのデュオ、インペリオ・セハーノの大御所女性シンガー - ドナ・イヴォニ・ララへオマージュを送ったm-6は作曲も唄もサンバの歴史にその名を刻むビリーニャの手によるもの、パゴーヂの若手では突出した存在のゼカ・パゴヂーニョのm-8、驚くべくは85歳になるセウ・アドリアーノが力強い唄声を聴かせてくれるm-10、ジェジェ・ヂ・イタボライ(ポルテーラ)とボンスセッソ・ド・パンデイロ(ヴィラ・イザベル)というそれぞれのエスコーラへ名曲を提供して来た二人の偉大なサンバ作家の手による曲までを収録。サンバの美しい旋律の中に憂い、喜び、エネルギーを見出すことが出来るのも、パウラォン・セッチ・コルダス(7弦g)やエドゥアルド・ネヴィス(flute, ss)、フェリーペ・D・アンゴラ(per)やビリーニャ(surdo)、エンリキ・カゼス(cavaquinho)といった腕利き達と唄い手による活き活きとしたプレイがあってこそ。真のルーツ・サンバを良い音と演奏で聴きたいのならばこの盤は本当にオススメできます。