2024/4/21 コンヴェルサ・ヒベイロのシンガー、ソロ作再入荷しました。
ピアノと声、ミナス出身女性の献身的な思いが詰まった静かなる傑作
アルバム・タイトルのデズヴェーロは、思いやりとか愛着のこもったという意味。幼少からまずピアノを修練し、カンピーナス大学の音楽科目で修士を取得しているアンドレアは、コンヴェルサ・ヒベイラで13年に渡る活動を続ける傍ら、10年ほど前よりこのピアノ弾き唄いで豊潤なブラジル音楽に自らの解釈を与えて表現したいと大事に温めて来たアイディアをかたちにしたのが本作。コンヴェルサ・ヒベイラでも垣間見えるコンテンポラリー・ジャズのエッセンスとクラシカルな素養、これらを最大限に活かし、対位法で再構築されるピアノのハーモニーと慈しむように優しさが滲む歌唱でイヴァン・リンス、ジョビン、ミルトン、シコ、エドゥ・ロボにビョーク(m-12"casulo" (cocoon) をプレイ。"水の缶詰"という歌から、"涙の川"という歌に繋がる3、4曲目、唯一のゲスト参加者 - 実父アルシデス・ヌネスとデュエットするのは"私が子供の頃の時”という歌であり、更には m-6"retrato em branco e preto"では唄の譜割と異なる流麗な動きをピアノが行なうことによってより詩的で深みを与える印象となっていたり、ミルトン・ナシメント作m-7"seis horas da tarde" を導入部とし、ルイス・ゴンザーガの名曲"asa branca" に連なり、合間にエドゥ・ロボ"boranda" の一節を引用、と歌の内容でメドレーを仕立ててしまうという鮮やかでロジカルな手法。冒頭"ciranda dos meninos" と柔軟なスキャットで染め上げるm-8"estrada do contorno" の2曲はアンドレアの自作。どれも確固たるタイム感の伸びやかな演奏が収められています。ソバージュだったヘアを丸めたのは決意の表れでしょうか、クラウド・ファウンディングで制作された待ち望まれた一枚。
デジパック仕様、ブックレットにはトレース・ペーパーを用いたページも。