受け継がれるボサ・ノヴァのDNA。冒頭"O Tempo"から、たゆたうようなチェンバー・タッチのアンサンブルに、フワッとしたイノセントな唄声に惹きつけられます。ヒストリーは本商品封入の中原仁さんによる解説に詳しくありますが、現在30代半ばを迎えたマリア・ルイーザ・ジョビンはジュリアードやバークリーなど音楽院で素養を伸ばし、バンド活動を経て、シンガー・ソングライターとしての道を切り拓いてきました。本作では自作楽曲を中心とし、自身とベース奏者としても著名なアルベルト・コンチネンチーノの共同プロデュース。アドリアーナ・カルカニョットと共作したm-3"Papais"、マリオ・カルダートJrがプロデュースしたm-5"Boca de Açaí"、アルナルド・アントゥーニスがゲスト参加したm-7"O Culpado é O Cupido"、72歳で逝去した37こ違いの兄パウロ・ジョビン作m-9"Samba do Soho"、小野リサ参加の日本語カヴァーm-10"涙そうそう"まで、話題に事欠かないトピックがふんだんに盛り込まれつつ、一貫して華やかでロマンチックなムードで包み込んだ2023年型MPBの傑作です。