'86年の生まれで本作が単独としては初となるパトリシオ・ピエトレクは、クリチーバ吹奏楽オーケストラに影響を受けたア・サイデラや、ショーロ・ジャズ的なスーコ・トリオなどに参加。アルゼンチンに居ながらにしてブラジル音楽に傾倒したキャリアを送ってきた新進気鋭のプレイヤー。パトリシオが作曲を師事したルカス・ニコティアンがピアノやアコーディオンで参加、ア・サイデラの盟友レアンドロ・カシオーニもギターで参加するなど、独学でジャズやコンテンポラリー・フォルクローレのセッションを繰り返すうちに培われてきた一流プレイヤーたちとの密接な信頼関係が、パブロ・ファバッツァ(drs)とのとろけるようなリズム・セクションを含め、随所から窺われます。アナ・アルチェッティのスキャットに、エセキアス・アキノのS.サックス、ディエゴ・コルテスのB.フルート、主旋律を担うどれもが流麗でナチュラル、抜群の耳馴染みの良さを誇ります。
『パトリシオ・ピエトレクの美しい傑作。繊細なアレンジと洗練された演奏が施された自作のインストゥルメンタル作品は、私たちをアルゼンチン〜ラテンアメリカを巡る情景の旅へと誘ってくれるようだ。彼の音楽と出逢ったのは、数年ほど前のこと。音楽仲間を通じて出逢ったその瞬間から、私はボーダレスでグローバルな彼の音楽世界に惚れ込んでしまった。本作では、パトリシオが敬愛するミュージシャン仲間も加わり、彼独自の音楽世界もより磨きがかけられた。私も一人のメンバーとして参加できたことを喜びたい。
この「青い鳥」の初飛行に…』 [アナ・アルチェッティ] (翻訳:鈴木多依子)