サンパウロのヴァイオリン奏者ヒカルド・ヘルスの新作は自身のソロ・キャリア20周年を記念して制作。ペドロ・イトウ(drs)、ファビオ・レアンドロ(p) とのトリオ編成を基盤に、レア・フレイリ(flute)、タチアナ・パーハ(vo)、ゼー・ルイス・ナシメント(per)がゲスト参加。
クラシックから音楽素養を積み、バークリー、パリへの音楽留学、アントニオ・ロウレイロと、そしてキューバの女性オーケストラとの共演作も発表して充実したキャリアを培ってきたヴァイオリン奏者のヒカルド・ヘルス。本作ではブラジル北東部音楽のリズム、コーコやマラカトゥ、フレーヴォにパリで体感した北アフリカ・モロッコのアフロ・リズム、これら自身が体得してきたリズムと現代サンパウロらしいジャズ・インプロヴィゼーションを掛け合わせ、ブラジル音楽に於けるヴァイオリン・トリオの可能性を突き詰めています。ペドロ・イトウの類稀なるリズム構築術、コンテンポラリー・ジャズの和声で洗練するファビオ・レアンドロ、この二人に加えて、七拍子のマラカトゥm-6"Siribobeia"で、自在に駆け上がるヒカルドのヴァイオリンとユニゾンしてゆくスキャットを披露するタチアナ・パーハ(他にもm-4"Cenas do Magrede"にも参加)、フランスと往来してブラジル音楽の魅力を伝えてきたゼー・ルイス・ナシメントと前述のタチアナが参加して前衛的な装いを纏ったショーロを披露するm-7"Sombo Chambado"、フルート奏者・作曲家として、またレーベル・オーナーとして、サンパウロのジャズ・シーンを引っ張ってきたレア・フレイリの颯爽と澄んだフルートが聞かれるm-5"Melodiemonos"、バス・フルートとの二重奏m-8"Sonhando O Brasil No Frevo"など、聞けば聴くほど物凄い高いレベルで作り込んだことが分かってくるインストゥルメンタル作品となっています。