2022/10/3 一年ぶりに再入荷しました。
ブラジルの打楽器奏者といえば、ECMでも有名なナナ・ヴァスコンセロスが浮かびますが、彼のイズムとも共鳴するような、松ぼっくりの楽器や洗濯ホースの風きり音、ナチュラルな音色がブラジル元来のルーツ・リズムと調和してゆくという音楽構築に、アカイのMPCサンプラーなどのエレクトロニクス使いのスキル、コンテンポラリー・ジャズ・スタイルのベンジャミン・タウブキン(p)やヒカルド・ヘルス(vln)、チアゴ・フランサ(ss)、エクスペリ・サンバのキコ・ヂヌッチ(eg) やトゥリッパなどポップ・フィールドで活躍するグスタヴォ・ルイス(g)、マルシオ・アランチス(b)、ジュサーラ・シルヴェイラやモスカとの作品づくりでハイブリッドなセンスを発揮するサシャ・アンバッキ(key)、アルナルド・アントゥネスなどで知られるギター・ヒーロー - エヂガルド・スカンドゥーハ(g, ex.IRA!)、ビッグバンド・サンバのオルケストラ・インペリアルでも活躍するタルマ・ヂ・フレイタス(cho) ら個性豊かなプレイヤーたちの巧みな技を融合、現代ならではの斬新な音楽の冒険をインストゥルメンタルをメインにアーティスティック且つロジカルに体現。
カストルップによるブラジル打楽器によるゆったりしたバツカーダに、仲間たちの作品からサシャ・アンバッキの手によりサンプリングされたコード構成音、ベンジャミン・タウブキンの透き通ったピアノのフレーズ、口笛のように聴こえるホースの風切り音が音程を持ち始めて、グスタヴォ・ルイスによるビザールでどこかオリエンタルなegと、アフロ・レゲエ的なパターンを展開するマルシオ・アランチスのb、チアゴ・フランサのフリー・ジャズなtsが感情を掻きむしるようなプレイをすれば、カンドンブレのCD作品からサンプリングされたメストリ・フェリーピの声が響き渡る...と1〜3 曲目までは組曲のように構築されています。カルトーラとドナ・ジッカの話し声をサンプリングしたかと思えば、圧巻なのはm-7"Perdidos" でエヂガルド・スカンドゥーハのギター・リフにヒカルド・ヘルスの深遠なヴァイオリンとシモーニ・ジュリアンのフルートがオーヴァー・ラップ、広大なスケールの景色を見せてくれています。DJ トゥドがベース音で参加したアヴァンギャルドなm-9 "Oohh"に、ゼー・ピトーコがクレズマティックな木管を聴かせるm-10"Frevano" はドラムンベース、そこから派生したタウブキンのインプロがあり、パンデイロの叩き唄いで自作曲のパゴーヂ・サンバを披露するm-12"No Fim" に施されたインダストリアルなアレンジメントと口笛やコーラスを携えたアンサンブルは斬新さに満ちあふれています。歌があろうとなかろうと伝わって来る物語性、目新しいブラジル音楽。