2018/8 売り切れております。
音楽家にしてチーズ生産の兼業農家でもあるハファエル・アルテリオと歌手で詩作提供の世界でも高い評価を得るヒタ・アルテリオの間に生まれたペドロ・アルテリオ。(5 a seco のフィルムでイヴァン・リンスの孫だという発言も)ギターと曲作りに没頭する思春期を経て、現在参加している5人のシンガー・ソングライターがひとに提供した曲をはじめとするオリジナル・コンポーズを並列に表現する5 a Seco (シンコ・ア・セコ)で今や大会場をチケット完売にする勢い。この勢いのもとペドロ・アルテリオ自身の作品として提示されるのが、クラシカルな表現も得意とするピアニスト、ブルーノ・ピアッツァとの音の波間に優しさが溢れ返らんとするデュオ・アルバム。
企画コンサート”キンタ・ヂソナンチ”(不協和音の木曜日)で出会ったふたりは音楽的に意気投合し、クラシカルな引用を多数用いたピアノと唄・ギターのアルバムを制作しようと試みます。父親のハファエルが保有する自宅スタジオにはピアノがなかったのですが、世界的に知られるアンドレ・メマーリから使用していたピアノを買い取り本作のレコーディングに臨んだそう。5 a seco の盤ではマリア・ガドゥが唄う"Em Paz" にはショパンの"別れの曲”を引用し、自身の詩的な佇まいの唄声とスチール弦のアコースティック・ギター爪弾きで再演しています。セルソ・ヴィアーフォラ、レオ・ビアンキー二、カエー・ホルフセンら盟友と共作した曲に、親子の、または両親のコラボレイションによるレパートリー、ダニ・ブラッキからは彼のアルバムとの音楽を通じた交歓というべき曲提供を受け、クレベール・アルブケルキら一風変わった作風のコンポーザーたちの作品に、書き下ろしのインストゥルメンタル楽曲はスキャットで。母のヒタ・アルテリオがミナス・ジェライスの廃線となった鉄道を想い詩を描いた滑らかにたゆたうような”Vai e vem" にはクラシックとブラジル音楽の双方の垣根をロール・オーヴァーして敬愛を受けるヴィラ・ロボスを引用し、かねてからチェンバー・ミュージックと唄の共存を志す実力派女性シンガー- モニカ・サウマーゾが参加。ベテランの女性シンガー、ルイザ・ポッシとデュエットする"Amanhecendo"にはサティの"ジムノペディno.1"を引用、他にもメンデルスゾーンを引用し、弦楽四重奏(vln, vln, viola, cello) が荘厳な彩りを与えたりと、懐の深さを感じさせる、新しくもロジカルな素晴らしい音楽たちが13曲。