ロー・ペスは在りそうで無かった、都会的フィーリングのAORないしはソウル要素をチャカレーラなどの伝統様式に織り込み、我々のフォルクローレに抱く印象を一変させてくれるバンド。
シンプルな作曲法とそれに対する柔軟なアプローチが従来のフォルクローレ・バンドとは異なり、エレクトリック・ギターのワウ奏法やサンプリング/打ち込みなどの手法も採り込んでいて、伝統とモダンが交錯する昨今のフォルクローレ・ポップのシーンで一際輝いて見える。特にフォルクローレ自作自演歌手として名を馳せるビオレータ・パーラ作のm-7に施されたエレクトリック・ビーツなど澄み渡る程の明快さを持って響くのである。自作曲の多くを手がけるロマン・ヒウヂーセ(vo, g)はラテン・ジャズをはじめ様々なアーチストとも共演経験を持つ実力者。そこに素晴らしいサンバ(zamba)m-5を手がけたフリオ・オリエータ(b, vo)を始め5人のメンバーたちが新たなアイディアを持ち寄り、産まれたのが本アルバム。アカ・セカ・トリオ、マリア・イ・コセーチャなど洗練されたフォルクローレがお好きなら絶対気に入るはずです。心底にルーツを持ち、我々なりに咀嚼して啓蒙して行こうという精神に共感せずに居れない素晴らしいアルバム。