ノエル・ホーザを敬愛するサンビスタの滑らかなソフト・ヴォイスと13人もの腕利きミュージシャンによる豪華なセッション。[ホジェリオ・ソウザ(g)ら"ノ・エン・ピンゴ・ダグア"の面々、ルシアーナ・ハヴェーロ(cavaquinho)、トニーニョ・フェハグッチ(acc)、クリストヴァオン・バストス(p)、デウシオ・カルヴァーリョ(vo)、江藤有希(vl) 参加]
生粋のカリオカであるシンガー?アジェノール・ヂ・オリヴェイラは物心のついたころからサンバに囲まれて過ごしてきたという。ポルテーラでパウリーニョ・ダ・ヴィオラとセッションしたり、インペリオ・セハーノやウニアォン・ヂ・ジャカレーラの面々とサッカーの後でサンバをプレイしたり。83年にモアシール・ルスやパウリーニョ・レモスと共作した楽曲を収めた1stアルバムをリリース。後にノエル・ホーザ歌曲集をリリースして、リオの旧市街ラパのサンバ界で高い評価を受けるようになる。本盤では自作ないしはホドリゴ・レッサやパウリーニョ・レモスと共作した上質なホーダ・ヂ・サンバやボサノヴァ/MPBさながらの雰囲気を醸し出すショーロ・ジャズ編成での楽曲までを収録。軽快なサンバで「肌の色も関係なく唄って悲しみを吹き飛ばそう」と唄われるタイトル・トラックに始まってガフィエイラ・ジャズ調の演奏に載ったm-2や、しっとりとした「ワルツとピアノ」m-5、ボサ・ノヴァ調の「魔術」m-7、パルチード・アルトに載った掛け合いが楽しい「汚れた足のパゴーヂ」m-10、ショーロ讃歌m-12やフルートに導かれたボサ・ノヴァ「月光のない空」m-13、カルナヴァルのテーマを多く遺したマウロ・ドゥアルチに捧げたm-14と来て、インペリオ・セハーノへ提供したエンヘード曲m-15で賑やかに締めくくる。前半のヴァリエイションの豊富さ、後半の流れの良さ、そして何より”滑らか”という形容詞がピッタリなアジェノールの唄。絶品です。