自身の名義ではジアナ・ヴィスカルヂを招いてスタンダードをカヴァーしたり、ジャズのプレイヤーやフォホーのレジェンドたちとコラボレイトしたりと、精力的なアーチスト活動が目立つサンパウロのS.S.W.兼医師、マヌ・ラフェール。カエターノ・ヴェローゾのサイドマンとして活躍していたバイーア出身のギター・プレイヤー - ルイス・ブラジルと共作、そして編曲を委ね、フランスのカヴァー・ポップ・ユニット - ヌーヴェル・バーグや、アメリカのシーヴェリー・コーポレーションで女性ヴォーカリストとしてフィーチャーされてきたカリーナ・ゼヴィアニがエレガントな唄声を聴かせるという、至福のブラジリアン・ポップ作品。
マヌ・ラフェールのソロ作のなか、英語詞曲ではまるでバート・バカラックの佳曲を思わせるようにグッド・ミュージックな瞬間があったのですが、本作ではルイス・ブラジルのegやソフト・ロックなソロ作を発表しているアルベルト・コンチネンチーノ(b)、共同プロデューサーのアレー・シケイラらと、その華やかなエッセンスを抽出したようなアルバムとなっています。それもその筈、唄っているのがNW期の名曲のネオ・ボサ・ヴァージョンを届けてくれていたスウィートな唄声の持ち主、カリーナ・ゼヴィアニなのですから。きっかけはルイスの末娘に捧げた朗らかな唄、そこから子どもたちに向けた作品を作ろうという着想を得ました。"ムカデの結婚””タクシー運転手の家""火星の月”、夢想するキッズ・ワールドが展開しますが、サウンドは多大なリスナー遍歴をもってしても唸ってしまうだろうアダルト仕様。そこはかとないメロウなハーモニーとAORフレイヴァーが堪りません。
他の曲につきましては、ブラジルの配給会社Tratore の商品ページで試聴ができます。→