30代半ばのこの世代のミュージシャンのうちでも特異な存在として、しばしばメディアに採り上げられるヴァド。 今回のコンセプトは何とリズム・マシーンの名器 Roland TR-808 で我流のサンバを。内省的で繊細な慕情メロディが、ヴィンテージなエレクトロニクスとヴィブラフォンをも含む骨太なバンド・サウンドと融合し、新世代ブラジルならではの実験的な世界観を醸し出します。各曲に豊富なゲスト陣を迎え制作されたニュー・アルバム、クルミン、
アンドレ・アブジャムハ、
クリス・ブラウン、
モモ、
ゼカ・バレイロ、
ファビオ・ゴエス... 注目のポイントはシコ・セーザルが参加したm-3 "Surdos de escola de samba" から
、マルセロ・カメロ&
マル・マガリャンイスのカップルが参加したm-4"Com a ponta dos dedos" のゆらめきながら壮大なスケール観を描き出す佳曲たち。ニューウエーヴ・ディスコティークなアレンジの中にサンバのリズム・フィールを持ち込んだm-9 "Jornada" など何処を切っても目の付けどころがひと味ちがうところに驚かされます。エルマーノスやドメニコ・ランセロッチがお好きなら恐らくお気に召していただけるのでは。