うつむき加減の内省的な旋律が、閃光を受けて花開く、そんなムード。'07年発表の前作「Sol no esculo」が伯ローリングストーン誌の選ぶ15傑に選ばれたり、アルバム中何曲かがコメディー・ドラマ「Alice」に収録されたり、と高い評価を受けたファビオ・ゴエス。1st発表以前より、アントニオ・ピントらと映画サウンドトラック向けプロジェクト・チームの一員でもあり(「シティ・オブ・ゴッド」にも関わっています)最近では本アルバムでもクラリネットで参加するエヂ・コルテスとの共作で、女性歌手セウが唄った”sonhando"が映画「ナォン・ポル・アカソ」に収録されるなど相変わらず映画音楽との深い関わりがあります。さて4年ぶりとなる本作では、エレピのローズやギター、カヴァキーニョ、パーカッションに至るまで多くをファビオ・ゴエス本人が演奏、多重録音したコーラスなども深層心理をスパークさせたような本作に彩りを添えています。哀愁とくすみ帯びた唄声がイマジネイティヴなサウンドと調和するm-1”Tao Alto e Fora do Lugar" には、アーバンなサンバ・ホッキで知られるアレシャンドリ・グルーヴェスがパーカッションで参加。ヴィオラォンにカヴァコがゆったりとしたサンバのパターンを見せれば、サンプラーの人工的なトーンが一気に現代へと時のねじを廻すm-4"A Rua" にはクルミンがMPCで、幻想的なポスト・ロック的アプローチで展開してゆくm-5"Fugindo"にはカシン (b)、クルミン(drs)、エヂ・コルテス(cla) が参加。同様にポスト・ロックの手法でスキャットと共に広がりゆくインストゥルメンタル曲やピアノ弾き語りなども挟み、思慮深いポップ・センスがこの人の真骨頂。 最終曲m-12 "amor na lanteira" にはカシン、クルミンに加えて女性歌手ルイザ・マイタがゲスト参加。
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