映画"黒いオルフェ"のテーマ曲、"カーニヴァルの朝"などの作者として知られるルイス・ボンファ。妻のマリア・トレドと1965年に制作した本アルバム「Braziliana」は、ボンファの渡米歴、一曲目"Whistle Samba"や"Promessa"、"Guanabala"、"Sambura"などで見られるチュッチュル、ダバダバを含んだスキャット、男女のハーモニーなどからソフト・ロックやラウンジ・ミュージックの系譜で語られることの多かったアルバムです。可憐で涼しげなマリア・トレドとボンファの歌唱はボサ・ノヴァの本質を表していると言って過言ではありません。一方、作曲者としての名声だけでなくギター奏者としても名高いルイス・ボンファの真骨頂を"Samba de Orfeu"、"Boticario"、"Pão de Açúcar(Sugar Loaf)"、"Guanabara"などギターをメインに据えたインスト曲で聴くことができます。指板いっぱいを駆使して広い音域で構築するヴォイシングの繊細な美しさには目を見張ります。また第一ドラム奏者としてエルシオ・ミリート(タンバ・トリオ)、第二ドラム奏者としてドン・ウン・ホマォン(セルジオ・メンデスなど)がクレジットされ、曲によってはプロデューサーのボビー・スコットの編曲による弦楽がマリア・トレドの穏やかな歌声を華麗になぞって行きます。