ジェントルで詩的エッセンスを振りまく歌声の佇まい。カエターノ・ヴェローゾの作品「Meu Coco」で編曲を手がけたこともあるリオ・デ・ジャネイロ出身の注目すべきクリエイター、シンガー・ソングライター、チアゴ・アムヂの5作目LPが入荷してます。(LPとデジタル配信のみのリリース)
2010年代初頭にアルバム・デビューを果たし、カエターノ・ヴェローゾにも賛辞を贈られた1980年リオ生まれの才覚。サンバ・ヂ・エンヘードからフレーヴォ、クラシカルで前衛的な解釈まで、この幅広い音楽性と物語性を持って進行する作品は、身の回りに起こった事象や社会の変遷、文学作品から得たインスパイアをテーマに、繰り広げられる哲学的な表現が詰まっています。自身がLP裏面のライナーノーツに記していますが、カエターノの息子ゼカに「カエターノが"Cantiga de ninar o mar"を、シコ・ブアルキが"Cidade possessa"をレコーディングすることに興味を持っている。」と聞かされたことが、本アルバムの制作のきっかけとなったそう。映像作品のために書かれた"Baia de Janeiro"に始まり、マリンバ(ナタリア・ミトリが参加)と木管の神秘的なアンサンブルが特徴的な"Oração a cobra grande"はミナスのルイザ・ブリーナと共作、サイケなファズ・ギターがカットインする"Cidade possessa"でベースを弾くのはヴォヴォー・べべー、シコ・ブアルキとデュエットするフレーヴォ"Cidade possessa"、キューバのダンソンのリズムを用いた"Dela"、冒頭"Baia de Janeiro"や、愉快に跳ねるクラヴィネットに合わせ劇的な展開を見せるシルヴィオ・フラガとの共作曲"Penteu"では、女性シンガーのジェーと共にコーラスを担うリヴィア・ネストロフスキー"Penteu"の名を見たり、オーラスのカエターノ・ヴェローゾ参加"Cantiga de ninar o mar"まで、名プロデューサー、アレ・シケイラの差配も光り、まさにめくるめくブラジル音楽絵巻といった風情の傑作。