'16/8/2 売り切れました。
夏が来ると、海の匂いのするたおやかなブラジル音楽が聴きたくなります。60年代からフルート奏者として錚々たる面々の作品に参加、ジョビンの晩年バンダ・ノヴァのメンバーとしても活躍したダニロ・カイミが、一世代離れたブルーノ・ヂ・ルーロ(b)、ドメニコ・ランセロッチ(drs) と共に父ドリヴァルの歌曲を歌う作品を制作。'70年代ドナートのスタイルを彷彿とさせる、波間をたゆたうような心地よさ。
ドリヴァル・カイミ生誕100年を記念する2014年にリオで制作が開始された本作。末息子のダニロとしてはナナ、ドリのきょうだいと作った「Caymmi」もあったためでしょうか、今年に入って、奇しくも日本の夏に絶好のタイミングでCDが発売されました。 ここには戦後間もない'40年代半ばにドリヴァルが作曲したサンバ・カンサォンやサンバ、フレーヴォが多く収められていますが、ドメニコの弛緩したフロア・タムとMPCを同列に扱う独特のリズム・コンストラクト、クラウヂオ・アンドラーヂによるワーリッツァーのジャジーなヴォイシング、ペドロ・サーのいつもとは違う生ギター、これらと円熟味を増したダニロのバリトン・ヴォイス、清涼感あふれるフルートの共存によって古めかしさを感じさせるどころか、全く斬新なサウンドとなっており、そこに制作意図の重みさえ伺えます。70年代初頭に伝説の一枚を発表しているアルチュール・ヴェロカイが弦楽アレンジを買って出た64年のボサ・ノヴァ曲m-3"Das Rosas"、ソウルフルでメロウなアレンジが施されたm-6"O que é Que a Baiana Tem?"はドリヴァルがリオに引っ越した時に作られた楽曲、最近ソロ作を発表したばかりのアナ・クラウヂア・ロメリーノ(バンダ・トノ/ベン・ジルの奥さん)がゲストvoで参加するm-7"Nunca Mais"、ダニロの娘であるアリシ・カイミが哀しみを切なく歌い上げるm-11"Canção da Noiva"、サンバの名曲をゆったりとしたアレンジで聴かせる最終曲"Vatapá"など独創的なアレンジに意欲があふれた旬の作品。