子供の頃から唄い、慣れ親しんだタンゴを新鮮な解釈で聴かせてくれるウルグアイの実力派女性シンガー、マレナ・ムシャラの4枚目となるアルバムが本作。プグリエーセやメルセデス・ソーサからメロディ・ガルドーら近年の魅力的なアーティストまで幅広いアイドルを持つマレナは過去作品でゴールド/プラチナ・ディスクを獲得、本作ではキューバ・ディスク大賞2012外国作品部門 にも輝き、また女医という一面も持っています。アップライト・ベースに生ギター、アコーディオンにメロディカなどアコースティック楽器を背景にひそやかに唄いかける情感豊かなスタンダード、m-3"Che Papusa oi" や"m-6"Che bandoneon"、m-8"Garufa"などから、時に幻想的なヴォイシングのアルペジオやeギターの効果的な導入で'70sのフレンチ・ポップ、当時のシャンソン的価値観を刷新したフランソワ・アルディ"さよならを教えて”辺りの独特の詩的なフィーリングを醸し出す自作曲 m-5 "Algo a tiempo" や、同郷のカンドンベを得意とする大御所打楽器奏者/SSW ルーベン・ラダとのデュオで聴かせるm-4"Madreselva" 、m-7"El dia que me quieras" など聴き手を惹き付けずにはおれない新機軸のタンゴ解釈も盛り込んだ傑作。ウルグアイ本国ではCD Book として発売されており、そこにはマレナが人々に取材して廻った50を超える"タンゴにまつわる逸話”が描かれています。これら取材を経てコンセプチュアルに構成されたのが「Pebeta de mi barrio」(=私の近所の子供)。今回の入荷はアルゼンチン盤のCDのみとなりますが、華やいだ情緒たっぷりのアコースティック・ミュージックとしておすすめです。