このゼカ・コスタ、かつてサンパウロのレーベルから1枚、ルイス・メロヂア、ベルキオール、オズヴァルド・モンテネグロといったゲストを迎えて制作した「Boas Novas」というアルバムをリリースしており今回が2作目。セルジオ・メンデスを始め最近ではフレッヂ・マルティンスやスエリー・メスキータら多くの優秀なソングライター/音楽家を輩出している地 - リオ・デ・ジャネイロ州のニテロイに生まれ、音楽教育はミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチで受けたという経歴ゆえ、リオとミナスと双方を拠点に音楽活動をし、今作へコーラス参加している女性シンガー - クラウヂア・アモリンへ楽曲提供もしています。さて本盤の内容はリオの街から生まれ時代の流れと共に新たな息吹を得たソフトなサンバやボサ・ノヴァをミナスの哀愁、叙情で包み込んだような、飾らないアートワークに反して非常に洗練された自作MPB佳曲の数々が聴かれます。丁寧で柔らかな唄い口は的確な言葉とピッチを捉えて憂いを帯びたメロディを紡ぎ、ペリーニョ・サンタナや自身のヴィオラォン(生ギター)を中心にパンデイロやチェロに鍵盤、丸く滑らかに纏められた高品位なアンサンブルと相俟って、日本に於けるボサ・ノヴァ愛好者の趣向を見事に捉えているように思います。流麗アコースティックな音場が煌めくm-4”Doido"(ヴァンデル・リーがゲスト参加)やショッチのリズムを優しげなタッチで演奏するm-8"Amarelo com marrom" (ジェラルド・アゼヴェードがゲスト参加)など節々に、クルビ・ダ・エスキーナからの系譜を感じずには居れません。