殆どの曲をフロントマンのアドリアン・リボイラとそのガールフレンドで本CDのパッケージ・デザインも手がけているヘラルディーネ・バロンの共作で書き上げ、鉄弦フォーク・ギター、バンジョーやピアノ、チープな音色に惹かれるアナログ・シンセにメタロフォン、フカフカしたドラムスに曲に因ってはチェロやサックスにトランペットなどの参加を仰ぎ、とハンドメイド・タッチのインディペンデント・ポップは、ブライアン・ウイルソン直系のロマンチシズムに溢れたユートピア的世界観。このメンテッテに気付くきっかけとなったのが、アコースティック楽器とスペイン語の歌詞でマグネティック・フィールズの箱庭ポップをブエノスアイレス流に解釈しようというプロジェクト -
カンポス・マグネティコス。そこで男性(アドリアン・リボイラ)とのデュオで
フェミニンなヴォーカルを聴かせるエウへニア・ブルーサの声に反応したからです。このエウへニアが在籍するのが6人編成のレ・メンテッテ。幾重にも折り重なったアコースティック楽器のなか、浮遊するように"ghost girl”"don't make me over"と幻想的な言葉と音の配列を選んだ、男女の温もりハーモニーが流れ出します。エウへニアの純度高いヴォーカルがフィーチャーされた”bird song”ではガラージュ・ポップの様相、チェロと深遠なメロディを唄う"Tide" と彩りも豊かです。よく聴き込むと2ビートのフォルク・タッチなアレンジの奥底にニュー・ウエーヴなどポスト・パンクの影響も感じられて、現在のシーンを彩る他のアーチスト共々、この地球の裏側でも共感を覚えずにはいられないでしょう。