キケ・シネシ+グアダルペ・ゴメスとの"Seras Verdad?"名演、ロドリゴ・カラソ「Octogono」でのキーとなった弦楽パート担当と話題を振り撒いてきたコルドバの弦楽四重奏楽団、マグノリア・クアルテート・デ・クエルダス。ただ美しいだけじゃ物足りないあなたに、ドラマティックに雄弁に、寄せては返す波のように、表情豊かなインストゥルメンタル・アンサンブルが、ギター奏者の制作したアルゼンチン・フォルクローレの楽曲を解釈。
2006年にコルドバで結成された男2人、女2人からなる弦楽四重奏楽団がマグノリア。今まで弦楽アンサンブルでは編まれたことのなかったタンゴやフォルクローレ、スピネッタなどのアルゼンチン・ロックの歌曲をクラシカルな編成で解釈するという彼らの芸術的な取り組みは室内楽に新たな風穴をあけました。特にコルドバのアーチストへの客演・共演、作品の解釈で、その魅力を発信してきたことは高く評価されています。この2018年に発表されたアルバムでは、リオハ出身のギター奏者/作曲家ルイス・チャサレータ(1961-)の楽曲に焦点を絞っています。チャカレーラ、ガト、サ(z)ンバ、タンゴ、チャマメ、バイレシート、クエカ、様々なフォルクローレ様式に則って作られた楽曲は、作者のチャサレータが米国ボストンのバークリー音大に留学していただけあって、洗練されたヴォイシングのコンテンポラリーなもの。元々ナタリア・バリオヌエボのようなシンガーやギター・アンサンブルに提供された楽曲たちも、一度このマグノリア弦楽四重奏の手にかかれば、その伸びやかな音色にロマンティックな詩情を携え、メランコリー成分をふんだんに振り撒いてくれています。例えるならガルデルの有名曲"Por una cabeza"が醸し出すセンチメンタリズムが17の小曲それぞれに形を変え含まれているかのように、情感豊かなハーモニーで溢れかえっています。
↓こちらは作者のルイス・チャサレータも参加してのショーの模様