ギターとヴォーカルのナチュラル・アコースティックな男女デュオ。大都会サンパウロの流儀的に洗練されたボサ・ノヴァ - サンバを奏でる正統派。
ジャズ・ヴォーカルにインスパイアされつつも、あくまでもソフトにナチュラルに歌い上げる叙情的な歌に、6本の弦をふくよかな倍音で満たす生ギター、ブラシ・ワークのドラムスにウッド・ベースのグリッサンド,,,,必要以上に音を詰め込む事無く、空間までも満たす豊穣で優美なムード。ト・ブランヂリオーニ、ダニ・グルジェルらサンバ・ジャズの良盤を多数産出するサンパウロの粋。静かに深遠なブラジル音楽を奏でるアナ・ルイーザ&ルイス・フェリーペ・ガマの二人と共演もしている模様。クイーカとカヴァキーニョで始まるメランコリックなサンバ・カンサォンのタイトル曲から、カルトーラの歌詞の内容を想起させんとする叙情に富んだたおやかなボサ・ノヴァ"Volta"や"Cliche"を挟み、ガンザやトライアングルの入ったバイーアォンのリズムを通過して、ラストの”Paris, Francamente" のトラディショナルなホーダ・ヂ・サンバの編成で幕を閉じるまで、艶と憂いを含んだパウラ・ミリャンの唄声、そしてヴァギネル・バルボーサのコンポージングが冴え渡る一枚。二人きり、サロンで演奏する映像があるのですが、夕暮れからの木目調な場所がピッタリきそうな一枚。