ヒッピーそのものの風貌や姿勢、カルナヴァルの狂騒とフラワー・ムーブメントを融合させたサンバ・ロックで70年代ブラジル音楽界に衝撃を与えたノーヴォス・バイアーノスの登場から30年以上が過ぎた。先程リリースされたベースのダヂに続いて、ヴォーカル/ギター担当だったモライス・モレイラのソロ・アルバムがリリース。そもそもこの人のフレーヴォとレゲエなどの要素を混ぜたスタイルのコンポーズには定評があり、トロピカリズモ期〜80年代にガル・コスタがモライス曲を多く取りあげて大ヒットをした経緯がある。そして2005年、新進気鋭のプロデューサー、アレシャンドレ・ヘイスと手を組み、バイーアの系譜であるフレーヴォにヒップホップ(何せm-1のタイトルが「バイアーノ・D2!)、ラップにエレトロ・スインギを取り込んだ全く新しいモライス・モレイラを提示している。映画「トリオ・エレトリコ」でも触れられていた通り、カルナヴァルの街宣車にエレクトリック武装を施したのは、このモライス。共謀者であるフレッヂ・ゴエスとの共作やエレクトリック・バンドリンの凄腕ーアルマンヂーニョ、ネオ・トロピカリスタとも呼ばれるオルケスタ・インペリアル一派から息子のダヴィ・モライス、アシェーのクイーン、イベッチ・サンガーロがゲスト参加。他にもベルキオール、ハミロ・ムソットらが参加。ブラジル音楽の系譜を塗り替えてきた男に期待と注目の集まる一枚!