'15/4/12 売り切れてしまいました。
ウディ・アレンの映画的な朗らかさで唄へアプローチするアルヴィ・シンガー・ビッグバンドなど、ブエノス・アイレスのインディペンデント・シーンで活躍する女性ミュージシャン、唄のみならずクラリネットにヴァイオリンやコントラバスにアコーディオン、打楽器、ウクレレを演奏するメンバー7名が集い、30’s、40's〜50's のボレロやチャチャチャにカンツォーネにディキシーランド・ジャズ、忘却の彼方にあった、或いは知られざるラテン圏社会の名曲たちを掘り起こして原曲の良さを尊重しつつ、円やかなアコースティック要素を心掛けながら現在に呼び起こすというプロジェクト。パリ出身のロス・マチュカンボスがヒットさせた"Pepito"に始まり、アンドリュー・シスターズで知られるイディッシュ/クレズマー・ソング”Bei mir bistu shein"、ロス・バン・バンの"Que no, que no"、ドナルド・ベイリーのバンドがオリジナルでジャズ・スタンダードとなった"Comin' home baby!"、ブラジルでサンバ・カンサォンとしてヒットしたドローリス・デュランの”A Noite do meu bem" は西語ヴァージョン歌詞でどこかタンゴ・カンシオンを思わせるアレンジへとリノベイト。ジャンゴ・ラインハルトの”Coucou"はウクレレと弦楽でエキゾチックな楽園ムードを漂わせています。掛け合いとボレロ的な解釈が楽しいカルメン・ミランダのレパートリー"Americanizada (Disseram que voltei,)"、オープン・チューニングの早弾きも鮮やかなジョニー・キャッシュの"Cocaine blues"... 興味を惹かれずに居れない全15曲。曲毎にフェミニンな声の持ち主からユーモラスな唄声に情念系まで、シングアロングに掛け合いにハーモニー、これらが女性らしいしなやかさと現在のアコースティック音楽の傾向を踏まえた演奏で眼前に。日常に潤いをもたらしてくれることこの上なしな好盤。今も昔も変わらない女のコの心情風景を見事に描いたアート・ワークは女性写真家ルラ・バウアー。