2017/4/29 売り切れました。
モダナイズと豊かな情感の融和。南米の20世紀ポピュラー音楽をアルゼンチンらしく研ぎ澄まされたフォルクローレ・ジャズのアンサンブルで刷新するベース奏者/S.S.W.と女性シンガーのデュオ作。
2014年第6回ジャズ・アンサンブル・フェスティバルへの参加をきっかけに始動したプロジェクトの結晶。ジャズのトリオ編成から、メランコリアを感じさせるS.S.W.ギジェルモ・カポッチらのサイドで屈指のコントラバス奏者/アレンジャーとして、そしてメロウなうたものにこだわった自身のリーダー作まで発表しているパブロ・トッシ。3年前にオーガニックな風合いのアコーステイックなフォルクローレ作を発表している女性シンガー、パトリシア・ピオホ・サッピア。長い咆哮にも似たコントラバスのロング・トーン、そしてベルナルド・モンクの木管(ss, cl, flute)やオラシオ・ノベロ(per)、アレハンドロ・カリノスキ(p)、マティアス・ルビノ(bdn)らの少ない音数による研ぎ澄まされたアンサンブルで、冒頭のEFX処理も為された前衛タッチなボリビアの民間伝承曲には驚かされますが、ビオレータ・パラ(チリ)作"Arriba Quemando El Sol"や、チャブーカ・グランダ(ペルー)作"Una Larga Noche" 、トム・ジョビン(ブラジル)作"Fotografia"、アグスティン・ララ(メキシコ)作"Piensa en Mi"、先住民グアラニーの古いメロディにオマージュを捧げた"Recuerdos de Ypacarai"(パラグアイ)など本デュオが唄も共有する前世紀からのレパートリーは抜群に新鮮な印象を受けます。コンテンポラリーでフュージョニックなジャズのアレンジがルーツ音楽の刷新にすこぶる好作用をもたらし、カヴァー・イメージ通りの聖なる祈りにも、静かに燃える魂の情念にも聴こえてきます。
2017/3/27 動画追加しました。