フェミニンなアコースティック・ポップのバンド、ロサルのシンガー - マリア・エスキアーガの弟にして、元ミ・トルトゥーガ・モントルーのリーダー。ピアノやポリ・シンセを弾きながら叙情的かつ知性的に入り組んだメロディをソフト・タッチな歌声で唄うマルセロ・エスキアーガの箱庭ポップ観、ソロ2作目。
今作もvo & p / b / drs というコンボを中心にした音作りですが、参加するミュージシャンを
前作とはガラッと代えて来ました。フリー・インプロからロック・ポップまで、数多くのキャリアを誇る
フェルナンド・サマレアがdrs / perc / bandoneon で全編に参加。そういえばサマレアはロサルのメンバーだった時期もありましたね。ベースはリミックス・ワークなどもこなすサンチアゴ・カプリグリオネ。アナログ・レコード全盛の'70年代を意識したという本作は、10曲中5曲ずつをA面/B面と位置づけ、サウンドの方もギター・レスのどこかアナログな手触りで緻密に練られた箱庭ポップという風情です。m-1 "ezpinazo" からヘルマン・コーエン (tb, onda vaga, satelite kingston)とアンドレス・ラビオリ (tp, brian storming) の管楽器セクションが被さり、ドリーミーな世界観を醸し出します。アルゼンチンの大衆伝承リズムが根っこにあるために載るメロディや旋律の譜割も独特で、一度聴いたらやみつきになってしまう、というL.A.スピネッタやC.ガルシアの音楽系譜をいまに発展させて継ぐ楽曲の数々。m-2"calada"には
パブロ・ダーカルのバンドで活躍するマノ・ロオプがチェロを、m-3にはファルセットにもホーミーにも似て異なる独特の唱法とバンジョーで
パブロ・マラウリ(mataplantas) が参加。ピアノの弾き語りと多重録音ハーモニーで幕をあけるB面サイドのm-6"bocado"にはサマレアがバンドネオンを、垣間見える後期ビートルズの影響をアルゼンチン流メランコリアで消化したかのようなm-8"el gran pueblo"、m-9"la vida desde lejos"にはパブロ・ロマニョリがジャジーなフルートで参加します。パーカッションと共にソフト・ロック・ハーモニーの爽やかに吹き抜ける"dame"まで、ブエノス・アイレス・インディペンデント・ポップ職人が作り上げたこだわりの1枚。
http://www.myspace.com/marceloezquiagamusica