M.ナシメントに楽曲提供も行なったミナスの鍵盤奏者／S.S.W. クレイトン・プロスペリの快挙な傑作、初ソロ。トニーニョ・オルタ、テコ・カルドーゾらゲスト参加。
冒頭"からこれぞミナスと思わせる分数コードのハーモニー、フュージョニックなトーンのシンセとコーラスを伴った瑞々しい歌旋律で耳を惹くのが、ミナス・ジェライスはトレス・ポンタス出身クレイトン・プロスペリの今年度リリースされた初のソロ作。C.プロスペリはミナス・ジェライス連邦大学(UFMG )の音楽学部卒業で、トレス・ポンタスで育った巨匠、ミルトン・ナシメントのアルバム「E a gente sonhando」(2010)に"Eu Pescador"という楽曲を提供しています。スキャットとピアノのブギーに導かれる""Inquietação"には、女性シンガーのサラ・アブレウが参加、70's クルビ・ダ・エスキーナスを彷彿とさせる空気感でデュエットを披露。ドナート・スタイルの浮遊するワーリッツアーを用いたインスト"Samba em Sete"があり、タイトル・トラック"Cativo"は、UFMGの同窓生ハファエル・マルチーニが弦楽四重奏のアレンジを担当、ワルミール・ジル(tp)がソロを執ります。複合リズムに載せた佳曲"Feira da Fé "では前述M.ナシメントのアルバムやツアーでもegを務めた同郷の音楽家イズマエル・チゾのソロが映えます。ひと際メロウでメランコリーな"Conta"にはトニーニョ・オルタ(eg,b)が参加、最終曲"Hora Senhora"にはサンパウロから木管奏者テコ・カルドーゾが竹笛で参加しています。印象的な肖像画はS.S.W.としても作品を発表しているレオノーラ・ワイズマン(R.マルチニの伴侶でもある) によるもの。完成までに3年を費やし丁寧に綴られた八篇、ブラジル音楽ファン、ジャズ・ファンのみならず、永らく愛されるべきセンセーショナルな傑作の登場です。
