2023/3/16 売り切れました。
華奢で可憐な唄声とチェンバー・アコースティック、ロリ・モリーナ新譜
アレハンドロ・フラノフに見出され、アンドレス・ベエウサエルトの作品などでも客演。フォルクローレとハイブリッド・ポップの狭間でデビュー・アルバム「Los Senderos Amarillos」('08)が一躍脚光を浴びた女性S.S.W.。ガット・ギターの類稀なる奏法、音色のセンスは4作目となる今回も健在なのですが、3年前から拠点を移したというメキシコ・シティ。彼地にはフリエタ・ベネガスやナタリア・ラフォルカデといった華やかな唄声を振りまく優れた女性S.S.W.たちがいますが、今回のロリ・モリーナのアルバムからはその系譜との整合性が頷けます。甘くまどろむようなフェミニンの魅力と巧みなギターの爪弾きの絶妙なバランス、それのみならず、アルゼンチンの木管奏者ラミロ・フローレスが編曲した弦楽四重奏が背景を幽幻なアンサンブルで彩ってもいます。リサンドロ・アリスティムーニョ、ルシオ・マンテル、フリアン・モウリン、ブルーノ・モギレフスキーのラ・マデローサ...多くのポピュラー作品でチェロを務めるルーカス・アルゴメドもこの四重奏の一画。分数コードで透明感のあるハーモニーを形成するタイトル曲m-3"Lo azul sobre mi"、フアン・キンテーロ(アカ・セカ・トリオ)がゲスト参加したm-5"Frontera"、性急に滴る水のようなアルペジオに心を動かされるm-7"Tigre"など、30代になってから書いたという自作曲がほぼアルバムを占める中、唯一採り上げたエドガルド・カルドーソ(プエンテ・セレステ)作のm-6"Martin"はメランコリアに満ちています。