トリーリャという女性だけのヴォーカル・グループでも活躍するパウリスタ、ヒタ・マリア。 歳月をかけて羽毛のなかで温められたように柔らかな手つきで差し出す曲達、ミニマルなアクーステ ィック編成で紡ぎ出したMPB良盤。
ブラジルの歌手というのは自らのルーツや曲を心底大事にすると感じさせるこ とが多いが、このサンパウロの女性シンガー、ヒタ・マリアは特に自身の曲に 愛着とこだわりを見て取れる。四分の二拍子の曲途中でワルツを挟みこんだり しながら緩やかにフワフワと柔らかく綴っていく唄は、旅の途中での自然に溶 け込んだ思いや日常を描き出したもので、プロフィールを見る限りではどの唄 も二~四年はじっくりと熟成させて機を待っていたもの。それだけに意外なの が大部分の曲で腕の確かなヴィオロニスト(生ギター)、ゼカ・ロウレイロの ギターを中心にベースにパーカッションだけを伴った至極シンプルなアク-ス ティックなアレンジメントが施されていること。しかしヒタ・マリアの声質に この空間に余裕の感じられる少ない音数が完全にフィットしている。エドゥー ・ロボ-シコ・ブアルキのサンバ「ネゴ・マルコ」もジャジーなギターを効か せて収録。
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Rita Maria