アンドレ・マルケス指揮のもとエルメート・パスコアルやアミルトン・ヂ・オランダらゲストの客演を仰ぎ、サンバやマラカトゥにミルトン・ナシメントなどブラジル音楽を大編成でダイナミックに演奏するオーケストラ、ヴィンテナ・ブラジレイラのギタリストとしても活躍してきたギー・シルヴェイラス。スーパー・プレーヤーのイチベレ・ツヴァルギが賛辞の序文を寄せる1stアルバムが届きました。
オクターヴを挟んでパラレルに動くギターの奏法はバーデン・パウエルからの影響を感じますし、斬り込んで来るようなサックスのブロウはアフロ・ファンクのそれを彷彿とさせます。m-3"Embaionado"のように、そこにバイアォンのリズムが入ればアフロ・ブラジルの濃厚なエッセンスを、そして何より芯の通った艶っぽい声で大胆不敵に実験的なラインを唄い回し新しい世代のブラジル音楽の冒険を提示してくれているのがこのギー・シルヴェイラ。ホーンを従えたサンバ・ジャズ・スタイルのm-5"Suspeito"、敬愛するエルメート・パスコアルのように巧みなギターとシンクロしながらクラリネットとアーティスティックなジャズ即興節を繰り広げるm-6"Chora Bandida"などチェロ奏者もパーマネントに参加した新しいブラジル・ジャズのスタイルを垣間みることもできます。m-4"Don Peralta"で、たゆたうように安息のメロディを唄うアルゼンチン人女性SSW ルシア・スピバックや、多くの曲を共作するゼカ・バヘート(m-9"Pe de luz"に参加)ら同世代の若手コンポーザーと作り上げた目新しく妖艶なメロディとノヴォス・コンポジトーレスに通じるハイブリッドな洗練、そしてアコースティック楽器の生命力漲る響きが融合した驚きの作品。