デンマーク人のドラム奏者とギターをはじめとするマルチ・インストゥルメンタリストふたりによるユニットがワサビ。YBスタジオでレコーディングされ、ブラジルでリリースされた本作にはそれぞれ先鋭的な作品を発表している二世S.S.W. の
レオ・カヴァルカンチ(m-1,6) や
イアラ・ヘンノ(m−3,5,12)らが複数曲に参加、メロディや詩の構築から発展的な共同作業を行なっています。このふたりの妖艶な唄声とオブスキュアな旋律がまた想像力を掻き立てます。先日ヴェロニカ・フェヒアーニと来日した
ホドリゴ・カンポスも自らの持ち味であるエクスペリメントなサンバの手法でコラボ(m-4)。ヴィンテージなトーンとエレクトロニクスが融合し、旋律やハーモニー、サウンドが映像を喚起してゆくのはインストゥルメンタルなトラックでも同様で、クラリネット奏者のルカ・ハエリが多重奏のアレンジをしたm-7のヨーロッパ映画のサウンド・トラックのような浮遊感、チアゴ・フランサが得意とするインプロ・ジャズ的なサックスでスリリングな情景を醸し出すm-2,10、ギリェルミ・カスチフッピ(per)らも参加したブラジル音楽の意欲的に漲る表現力と、ヨーロッパの洒脱なセンスが出会った希有な作品。