カリオカで音楽活動はサンパウロの新しいインディペンデント・ポップ・シーンと密接にリンクする女性S.S.W.バルバラ・エウジェニア。2011年にサンパウロのイディッシュ文化センターで行なわれたセルジュ・ゲンズブール・トリビュートのショーではこのバルバラとジュリアナRをヴォーカルに据え、エヂガルド・スカンドゥーハ(eg)のもとジョーヴェン・グアルダ、イエー・イエー・イエーを通過したブラジル式の解釈を行なっておりましたが、その際とも重複するクレイトン・マルティン(drs,シダダォン・インスチガード) やアストロナウタ・ペングィン(moog, organ)、ヘジス・ダマシェノ(b,シダダォン・インスチガード, ジェネシ etc) らのメンバーで紡ぎ出されるサウンドは、現実離れしたドリーミーな浮遊感を漂わすバルバラの 唄声と相俟って、フラワー・ムーヴメントやトロピカリアのフォーキー・サイケなヴィンテージ・トーン、フレンチ・ポップ最盛期の輝かしい空気や宝物感が詰まっています。今作は多くを自作曲で占めるほか、'72年にニール・ダイアモンドの曲をポル語歌詞でヒットさせたヂアナのカヴァー"Porque Brigamos" 、管弦も伴ったフォークトロニコで人気のS.S.W.ペリコとの共作・共演"Roupa Suja"、セレブロ・エレトロニコやジャンボ・エレクトロでお馴染みのタタ・アエロプラーノとの共作・共演"Nao Tenho Medo da Chuva e Nao Fico So"、最終曲でS.S.W.ペリ・パニがチェロを弾いたり、とサンパウロ・インディー内でのコラボを盛んに行なっています。フランス生まれのアーチスト - アダノウスキーの"Me Siento Solo"にバルバラがポル語ヴァージョン歌詞を付けた"Sozinha"をはじめ、英語や仏語の歌詞も含む無国籍感、そして憂いとロマンチシズムを含んだ唄の旋律に、ラップトップ・スティールの音色に、しばし非現実感のなかへ身を投じ、肩の力を抜くことのできるアルバム。