ブラジルを代表するハイブリッド系のシンガー・ソングライターのひとり、モスカのスタジオ盤としては7年ぶりとなる新譜です。静のPouco(少しの) と動のMuito(多くの)をテーマにした2枚同時リリースで、まずはアコースティックな「Pouco」の方が入荷して参りましたが、これが聞き惚れるほどに素晴らしい作品!
スタジオ盤をリリースしていない間に
ライヴ盤CD、
DVDのリリースもありましたが、何と言ってもTV番組「
Zoombido」を通じて、多くのシンガー・コンポーザーのアコースティック・セットに触れ、アコースティック・セッションをしたことがこの新作「Pouco」の礎となっていると思います。可愛らしいトイ・ピアノの音色で始まる1曲目。そしてZoombidoでも印象深い出演を果たした
ゼリア・ダンカンの新作にも収録されている共作曲 "Sinto Encanto"のギター・リズム、マリア・ガドゥによるゲスト・コーラスも含めヴォイシングを新たにしたヴァージョン、"アタウアルパ・ユー・ファンキー”と傑作フレーズを歌っていたことでも知られるアラスカ産まれのアルゼンチン・ハイブリッド系S.S.W. ケビン・ヨハンセンも参加しての共作英語曲"Waiting for the sun to shine"などには盟友マルコス・スザーノのパーカッションとドゥンガ、ニロ・ホメロらのベースとがアコースティックな音場をより豊かに聴かせる役割を果たしています。またアルゼンチンで録音されたm-4と6 にはパット・メセニー・グループやセル・ヒランで知られるペドロ・アスナールがバリトン・ギターやコントラバスで参加。シコ・セーザル本人も参加した共作曲"Saudade”までの全編、内省的な詩を書いたそうですが、何と言っても全体に漂う陽光の香しさ、完成された叙情風景はいままでのモスカ節を残しながらも、より突き抜けたものと感じます。