"繊細なテクノ、平坦なブレーガ"。一流紙グローボをして、良く例えたものだなと思いますが、テクノ・ブレーガ旋風の吹き荒れたパラー州ベレンから、若き知性派のソングライターが登場しています。ガル・コスタの近作「estratosferica」の初っ端"Sem medo nem esperanca" を楽曲提供したアルチュール・ノゲイラの満を持して登場したセカンド・アルバム。
エレクトロニカとポスト・ロック通過後のバンド・サウンドが交錯するオブスキュアな音場の中、ベテラン詩人アントニオ・シセーロのことばにメロディを付けてメランコリーを孕んだソフト・ヴォイスで唄う。若干27歳にしてガル・コスタ、マリーナ・リマ、シダ・モレイラらベテラン・シンガーに頼りにされる優れたコンポーズ能力で一躍注目を浴びるのがこのアルチュール・ノゲイラ。"Sem medo nem esperanca" のセルフ・カヴァーも含むこのアルバムは自身にとって二作目となります。ラップトップとドラム+ギターの同期演奏でインストゥルメンタル・ミュージックを展開する同郷のバンド- ストロボの全面参加に、生のチェロや共作者としても名を連ねるマルセロ・セグレートのナイロン弦ギターなどアコースティック楽器と電子音楽の融合で、野太くもローファイ、ニューウエイブでダンス・ビートを用いるのにクレヴァーで涼しげ、という凝ったサウンドを構築しています。ゼー・ミゲル・ヴィズニキの実娘マリナ・ヴィズニキとの共作"Vaga" もあり、最新のブラジル音楽の動向をチェックするには外せない一枚!