トロピカリズモがエレクトロ・ビーツと出会い、パウリスタたちの一服の清涼剤と成り得た。タタ・アエロプラーノ(唄・エフェクト)とフェルナンド・マラーニョ(ギター)の男二人を中心に、生のドラムやベースにサンプリングやループを旨く融かしながら、独自なポップ感覚をこれでもかと繰り出す。ビリンバウのループ音にドラムンベースのアクセントで始まる一曲目からアナログシンセの涼しげな旋律とパパパ・コーラスが顔を出し、二曲目の映画キャラクター(コフィン・ジョー)と現代美術家(マルセル・デュシャン)の対峙を描いた曲では「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ(ゲンズブール)」他、数々の有名曲をコラージュ、元ネタにしたヒップホップにしてやられる。アコギや女性ヴォーカルの使い方は、ステレオラブ以降の感覚を熟知した確信的な音。生フルートや登場する各エフェクトがカラフルで楽しく、ソフト・ダンスMPB〜ボッサ・エレクトロからインディー・ポップまで心地よいサウンドスケープが眼前に広がってゆく。