2011年の6枚目となるアルバム「
Ame ou se Mande」の成功、アンゴラの佳曲集「
Flor Bailarina」のリリース(2012年)と俄然勢いをつけるバイーア出身のベテラン女性シンガー、 ジュサーラ・シルヴェイラ。今年は3つのプロジェクトを同時に進行させているそうで、そのひとつが届きました。
タイトルはずばり「ポルトガルの水」。ポルトガルの詩人でモニカ・サウマーゾらにも詩作を提供しているチアゴ・トーヘス・ダ・シウヴァがファドの分野で高い評価を得るギタリスト-ペドロ・ジョイアらと書いた既存の4曲と、新たに7曲をこのアルバムの為に準備。「Ame ou 〜」からのマルセロ・コスタ/サシャ・アンバッキの音作りの流れとは異なり、新しいファドの風を感じさせる作品となっています。マンドリンのトリルやアコーディオンにやはりヨーロッパの香りを感じますし、アマリア・ロドリゲスに感銘を受けたと語るジュサーラも、ファド的な唄い回しを入れたり。しかし、やはりこの人の魅力的な唄声はフィリーピ・ハポーゾのピアノを従えたm-4"O Mar fala de ti" やm-9"O Nome do mar"、m-10"Sereia" などの和やかな風情、穏やかな海の風景が浮かぶような曲で最も惹き立っているように思います。ヨーロッパの黄昏、叙情が瞼に浮かぶ一枚。