'15/12/24 本国で再プレスされました。
ルシオ・マンテルの評判の良かった前作
"Nictografo" に続く 2ndアルバムがブエノスアイレスから入荷しました!
ゆったりとしたダウンテンポな曲調、憂いと微睡みを携えた唄声がアコースティック・ギターとストリングスに飾られて叙情詩を奏でる、まさに「暗闇から光を呼び覚ますかのようなポピュラー音楽」とはよく言ったもので、本作でもルシオ自身の爪弾くギターに魅惑の唄声、新鮮さを感じさせるに充分なラプラタ川流域音楽のヴァリエーションもあり、装飾的に隙間のアクセントをつくパーカッションやドラムスからはポエティックな”流れ”を感じさせます。ブラジルに旅したというルシオはvo/g/vln/cello/wb/per/per という編成で雄大な演奏を聴かせる m-1 "Punto de fuga" (=飛行点)から、サンバ・パーカッションを想像だにしなかった斬新な扱いで採りいれています。続いてもgとcello のアコースティックな響きにローズやカオスパッドを重ねたり、SSWとしても活躍する
パブロ・グリンホト(vln)ら多数の室内楽団が劇的な演出をする"Mi Memoria (nadando en el sueno)”(=私の記憶- 夢で泳ぐ)、一転フォルクローレの大御所リリアナ・エレーロをゲストに迎えボンボ(太鼓)の響きが魂の鼓動にも聴こえる”Desvelada"(=不眠症)があり、アルペジオの透き通った響きと幻想的なヴァイオリンが絡み合う中を泳ぎ抜くように歌う"Mar Interior"(内面の海)、内面から滲みでたフォルクロリック・リズムで弾き語る"En El Siguiente Suspio" (溜め息のもとで)、アレハンドロ・テランのクラリネットがデカダンで哀しげなその名も”Polka"、
ビセラ・クラッシュのレイラ・チェロや、SSWのエセキエル・ボーラらシーンを共有する同世代ミュージシャンが参加した"Bailar con tu sombra" (あなたの色に染まり踊る)、そして古いフィルムの光を表現したかのような "Solar"、最終曲”Miniatura no1" までひとつの物語のように連なった流れ。リズムやハーモニーのヴァリエーションは豊富なうえにコンセプチュアルな仕上がりをみせているのです。ルシオのセルフ・プロデュースで、弦楽アレンジはペドロ・オネットとアレハンドロ・テランが曲毎に担当。
スピネッタらアルゼンチン・ロックの歴史を築いて来たものたちへの尊敬の念、そしてブエノス・アイレス録音を敢行したブラジル南東部出身の
ヴィトール・ハミルや、そのヴィトールとも交流の深い
ホルヘ・ドレクスレルらへの共感や共通項、現在を生きるミュージシャンとしての鋭敏な感覚や視野は、同世代の
リサンドロ・アリスティムーニョや
セバ・イバーラと切磋琢磨して築かれているのでしょう。
ブエノスアイレス産音楽には、ただただ驚かせられ続け、魅了されて。
http://www.myspace.com/luciomantel