都会的に洗練されたMPBを展開するS.S.W. ホジェリオ・サントスのアルバム、ジャズ調のピアノ・アレンジに軽やかに弾むバンドリンの音色、そして朗らかで耳馴染みの良い唄声が振りまく詩的エッセンス。
サンパウロの新潮流 - ノヴォス・コンポジトーレス一派を彷彿とさせるホジェリオ・サントスの音楽。アドニラン・バルボーザに代表されるサンパウロのサンバを受け継ぎ、哲学派のMPBを展開するルイス・タチの知性を併せ持つシンガー・ソングライターで、実はリオ生まれのようなのですが育ちも音楽素養もサンパウロということで、サンパウロに思いを馳せた内容の楽曲を収録したアルバムを制作。弾むギターも軽やかなサンバにジャズの手法でマリオ・ヘボウサスのピアノが入り、時に速いパッセージを難なくこなすファビオ・パロンのバンドリンという洗練された傾向のサウンド、都会の日常を切り取った内容の唄はホジェリオ・サントスと日本でも活動していたトニー・"ピトゥーコ”・フレイタスの共作を中心に、すべて自作。キューバ音楽のテイストを採りいれた"Carro Anfibio" では"O Barquinho" の一節を引用したり、共同プロデューサーのフロリアーノ・ヴィラーサのギターとイタロ・ペロンの7弦 gを背景に慈しむように唄う"Poente"、ピアノだけをバックにした"Valsa eterea" などボサ・ノヴァや繊細な心象風景に焦点を当てた楽曲、そして日本で暮らすブラジル人たちの武勇伝を讃えた"Breque do quioza"、ショーでも度々共演している女性シンガーのヒタマリアやルイーザ・アルブケルケがコーラス参加をしたアーバンなマルシャ"Beijo torpedo"、とサンパウロで暮らすものの視点で彩りも華やかに洗練された現在の音、現在のことばを紡いでいます。