世界的に高い評価を得る女性歌手セウの近作ではプロデューサーとして名を馳せるサンパウロ・インディペンデント・シーンの音楽家、ギー・アマビス。ここでも"Deus e seu guardiao" を共作する実兄弟でインスティチュートやトレス・ナ・マッサでも活躍するヒカ・アマビスとデンギやプピーロらその周辺のミュージシャン達が挙って参加、ポストロック通過後のサイケデリアを展開するシダダォン・インスチガードのヘジス・ダマシェノとの共同プロデュース、同バンドからはルーカス・サンタナのギタリストも務めるドゥスタン・ガッラスも参加して、現代流ソフト・サイケな自作曲をメインとしたソロ名義の2作目。スロー・テンポで内省的、オブスキュアな詩と旋律はギーのクルーナー・ヴォイスと相俟って一種陰鬱な影を落としながらも、映像的な音を描いて行きます。トゥリッパ・ルイス「トゥド・タント」にも参加しているチェロのフェルナンダ・モンテイロ、ドラムスのサミュエル・フラガらも参加したミニマムな生バンドによってコンセプチュアルに構築される曲たちには、ダビーなアレンジを得意とするギー・アマビスらしく骨太な芯が通っており、現代都市サンパウロに於けるトロピカリアといった風情。ブラジル音楽評論のブログなどでは「Trabalhos Carnivores」(=肉食の仕事)を2012年度作品の上位に本作を挙げる声も聞かれます。