'90年頃にドリヴァル・カイミ作”マラカンガーリャ”に施したアレンジが、A.C.ジョビンに採用され注目を浴びたマリオ・アヂネー。このマリオ名義のアルバムは、サンバ/ショーロ/ジャズの要素を盛り込んだインストの2曲から始まる。ヴィオラォンのどこまでも拡がってゆくようなヴォイシングと柔らかい音色にまず驚かされる。チェロにジャキス・モレレンバウン、パーカッションにマルコス・スザーノ、ベースにゼカ・アスンプサォン、鍵盤はクリストヴァオン・バストスにフェルナンド・モウラという知名度・実力共にブラジル屈指のプレイヤーが集合。マリオ・アヂネーのペンによる、MPB/ボサ・ノヴァが 最も輝く秘訣を知り尽くしたような繊細で職人芸的なコンポーズを中心に、自身のギター/唄のほか、曲ごとにジョイスや小野リサ、イヴァン・リンス、クラウヂオ・ヌッキ、ロバォンが唄で、パウロ・モウラがサックスで参加。この盤のハイライトは前述”マラカンガーリャ”の再録m-10にA.C.ジョビンがピアノで参加、マリオ・アヂネーに賞賛を贈っているように聴こえる。御大ジョアン・ジルベルトから「好きな曲をアレンジしたのを入れなよ」と電話でアドヴァイスをもらったという逸話も微笑ましい。
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