特に現地ブログの'13年に聴くべき名曲100選にも選出されている"Ate voce me achar" や"She loves me" と"Birthday surprise"、2曲収録されている英語詩曲を初めて聴いたときに「Transa」やトロピカリア期のカエターノ・ヴェローゾを思い起こしました。用い方が面白いeギターや生の管弦などによる余白多めのアンサンブルに、低域から中高域まで特異なラインを描くジョアン・ホセットの唄声。優れたソングライターであることが伝わって来るアルバムです。
タイトルは"あなたが私を見つけるまで”。というわけでアートワークには沢山のサンパウロっ子がコラージュされているのです。1曲を除きすべてこのサンパウロ出身の30代前半、ジョアン・ホセットによって書かれたものばかり、マルセロ・サンチェス(eg)、カイオ・ロペス(drs, トゥーリッパ・ルイス)、ヒカルド・プラド(key, アルナルド・アントゥネス)、ダヴィ・インヂオ(b) の基本編成に、S.S.W.としても活躍中のペリ・パネ(cello) が2曲、ナタン・オリヴェイラ(tp,エルザ・ソアレス) らが曲毎に参加するという構成で、アレンジを参加ミュージシャンに任せたりもしており、おそらくはピッチ・フォーク系などU.S.インディー S.S.W,もののハンドメイド・タッチな手法をも意識しているであろう音作りが、脈々と流れるブラジル音楽/MPBの系譜と絶妙にリンク、取り繕ったりしない潔さが音数の少なさに表れており、独特なコンポージングを詩的でアーチスティックに際立たせています。女性シンガー、アンドレイア・ヂアスとマルセラ・ビアジがゲスト参加。