タンゴのギター・ソロCDとして必聴の一枚。
タンゴのギターというと弦を打ち付けるように弾く歯切れのよいものを想像しがちですが、何でしょう、この包み込むように滑らかで柔らかいトーンは。他のギタリストとは全く異なる独自のアプローチでタンゴのハーモニーを解釈した画期的な一枚です。ブエノス・アイレス郊外のペルガミーノ出身のギタリスト - フェデリコ・ヴァジェホスは現在30代後半で、ギターだけのタンゴ・キンテート - キンテート・デ・ロス・サントスのメンバーとしても活動しています。欧州をはじめ海外でも多くのフェスなどに出演し国内外で高い評価を得ているのですが、本作は「ガルデルのものからピアソラへ」。"Libertango" (ピアソラ)に"Por una cabeza"(ガルデル)、タンゴの有名曲をルベーン・"チョチョ”・ルイスの編曲によるフォルクローレ・ギター的な流麗さで聴かせてくれます。親指のルート音と中指・薬指のフレージングが別の動きを見せながらギター1台で編み出すアンサンブル、ナイロン弦の響きが含有する優しさが目一杯フォーカスされた素敵なギター・アルバムです。フォルクローレ大家のレギサモンの手法を思わせるオリジナル・コンポーズ"Milonga Azul"にもうっとりとさせられます。