サンパウロで起きているボサ・ノヴァ新潮流。既存の有名曲、ボサ・ノヴァ・クラシコだけでなく、自分たちで書いた曲を歌って行こうというひとつの流れ。ここにまたひとり気品漂うシンガーの登場です。
マリアニ・マットーゾのハイトーンに特徴ある声質は、女性らしい奥ゆかしさや知性といったものを感じさせます。ピアノを中心にしっとり静かに唄い上げる1曲目にはじまり、g, p, b, drs とジャズMPBの基本編成にフルートやクラリネットなど木管楽器が彩りを与え、70sのMPB全盛期のころを思わせるブラジル音楽の本質を突いたかのような正統派サウンド。先に新しいコンポーザーたちとのプロジェクトで驚かせてくれたダニ・グルジェルと同じく、ジンボ・トリオのエスコーラにてポピュラー・ピアノとフルートを学び、セントロ・トム・ジョビンで歌唱法をベテランのシルヴィア・マリアに師事したという音楽素養の持ち主。ユーリ・ステイニョフのフレットレス・ベースや、共同プロデュースに名を連ねるピアノのホドリゴ・ブラガ、女性ギター奏者のルシアナ・ホマニョーリが、気品に満ちた落ち着きでブラジル音楽のリズムにジャズ調のアンサンブルを重ね合わせ楽曲の質感を高めています。最終曲は大ベテランのピアニスト/コンポーザー、昨年惜しくも他界されたジョニー・アルフとのコラボレイト作。
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