”もの哀しくも美しい古の詩情”を体現する現代のアコースティック音楽。"波乱の時代に息衝いたコプラとファド、港の夜を駆け抜ける巡礼の旅人たちの情事、袋小路に立ちはだかる憤り”--ショーのフライヤーより
"空気の通る道のために"、スペイン内戦前の詩人・劇作家の作品から名付けられたこのブエノス・アイレス出身アコースティック・コンボは、女性シンガーのカロリーナ・バルカルセルとクラシカル/コンテンポラリーな分野でソリストとしても活動するギターのアリエル・エリホビッチのデュオ編成に、カンバ・タンゴというグループにも在籍する女性コントラバス奏者のカロリーナ・カハル、自身がリーダーとなるジャズ・フォルクローレのセクステットでも活動する打楽器奏者レアンドロ・サベロンのふたりを加えたカルテットでの演奏。ユニット名にもなっているガルシア・ロルカの詩曲やラファエル・デ・レオン=マヌエル・キローガの楽曲など1920年代、30年代からのスペイン音楽、そしてアマリア・ロドリゲスの作品などポルトガルのファド、これらをレパートリーにしています。内戦の言論統制によって銃弾に倒れたガルシア・ロルカの作品など、暗い時代背景のなか人間としての営み、愛に光を見出そうとした唄の数々は、現代ブエノス・アイレスの優れた演者によって新たな息吹を得たかのようです。まるで穏やかさを携えた風、希望を感じさせる朗らかさを含んだ声でフレッシュに唄い回すカロリーナ・バルカルセル、繊細かつ巧みな指運びで豊かなハーモニーを形作るアリエル・エリホビッチのギター、アコースティックな音場に深みを与えるコントラバスとパーカッション。メランコリーなアコースティック音楽、コンテンポラリー・フォルクローレのシェルフにまた一つ美しいアルバムが加わります。
http://www.myspace.com/porlossenderosdelaire