79年生まれにしてこれが1stソロ。リオ・デ・ジャネイロはコパカバーナ出身の生粋カリオカ娘。元々はパンデイロを初めとするサンバ・パーカッションでキャリアを始め、今までにもウイルソン・ダス・ネヴィスらベテランのサンバ・ミュージシャンのバックを務めたり、サンバ・グループやパーカッション楽団に在籍していたりもしたようです。この初CDで素晴らしいのは、”かくあるべき”という小編成サンバやパゴーヂの垣根を見事に超越した多様性を見せている点。それこそサンバ・カンサォンの時代、'30年代のミュージカル仕立て劇中歌を思わせるユーモラスな一曲目"meu sarava" からプロデューサーのトゥニーニョ・ガランチのアレンジ・センスが光ります。お次はマウロ・ドゥアルチ・トリビュート企画盤が素晴らしい出来映えだったサンバ・ヂ・ファトの面々 - アルフレード・デル・ペーニョ、ペドロ・アモリン、ペドロ・ミランダ、パウロ・ヂアスが参加、切れ味鋭いサンバ曲を披露します。バイーア出身のギタリスト、ルイズ・ブラジルが参加した次曲ではサルヴァドールの潮風を沢山孕んだバラッドを、そして太鼓のロールと口笛に導かれて登場するチェロと唄声、ナチュラリストならではの瑞々しさがふんだんに感じられるm-6 では、チェロにモレーノ・ヴェローゾ、打楽器・手拍子にドメニコ・ランセロッチが参加。ボサ・ノヴァにワルツ、管弦室内楽調のアレンジやピアノだけをバックに歌う曲もあり、チアゴ・ダ・セヒーニャをデュオの相手に迎え、2人でパンデイロを叩き歌うファド・ヂ・キッサマンの最終曲までいろいろな光とその影を見せてくれるアルバムです。肩の力がいいように抜けた終始リラクシンなムードの歌、自分でパンデイロも叩いて楽曲を楽しみ尽くそうという姿勢も感じ好いです。