タイトルが「ヴォリューム・ゼロ」と冠せられたこのアルバムはエレクトロ・ビーツやソウル、ヒップホップ、ロックとの融合を幾多試み続けるブラジリアン・シンガー達の系譜に名を連ねることだろう。ダウナーなビートに、ソウルフルに跳ねるベースライン、ギターのバチーダや切れ味鋭いカッティング、ブルー・スケールを辿るジャジーなオルガン、時に呟くようでありながらピリッと存在感を醸し出す、実直な姿勢のブルーノ・モライスによるヴォーカル。欧州のブラジリアン・テイスト・クラブ・ミュージックほどスタイリッシュに作り込まず、ザラっとした感覚をしっかり残した音作りに好感がもてる。サンバ学校で音楽を身につけ、ファンク・バンド[Madame Brechot]でヴォーカルをとっていたブルーノ・モライス。この盤でプログラミングやアレンジを担当するヴェンデルと出逢ったことも大きなタームと成ったようだ。70年代にサンバ・ソウルやサンバ・ファンクを浸透させた先達、ジョルジ・ベンジョールやチン・マイアにトリッキーやDJシャドーのエレクトリカル要素が混じり合った注目のアーチストの登場だ。
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bruno morais(試聴あります)