サンパウロの女性シンガーーヴィルジニア・ホーザの3作目はコントラバス(マルコス・パイーヴァ)やヴィオラォン(ヂノ・バリオーニ)、ピアノを活かしたライヴ感のある躍動アンサンブルに最小限のエレクトロニクスで味付けたという”潔さ”が目立つ素晴らしいアルバム。レパートリーもロス・エルマーノスのマルセロ・カメーロ作のサンバ・ジャズ歌曲m-1、パンデイロと切れたバチーダで生々しく聴かせるマルコス・ヴァーリ作のm-2、アート・リンゼイ調のアレンジを巧みに採りいれたというm-3、ウイルソン・モレイラ曲m-6やカルトーラ「沈黙のバラ」m-8にセルソ・フォンセカ、ベベウ・ジルベルト、バーデン・パウエル…既存のレパートリーに親密なバンド・メンバーと切磋琢磨、明快且つ挑戦的、絶妙としか言いようのないアレンジメントを施し、ヴォーカリストとしての表現力をトータルに引き出した、そんな印象の好盤です。