愛と海の狭間で。スピリチュアルに、深さをもって響くブラジル・サルヴァドール出身の女性シンガーの唄声。
バイーア州サルヴァドール出身で80年代には同郷カエターノ・ヴェローゾのアルバムに参加、ジルベルト・ジルやイベッチ・サンガーロとも共演を重ねて来た女性シンガー -ジュサーラ・シルヴェイラ。今回は故郷のバイーアを基盤に活動するレーベル”マイアンガ”からのリリースとなっている。以前にトリビュート・アルバムも出した程敬愛するバイーアのサンバ/ボサノヴァ作家ドリヴァル・カイミの"Morena do mar"やアルバム・タイトルにもなっているナー・オゼッチールイズ・タチットの"Entre o amor e o mar"など「愛と海の関係」をテーマにしたレパートリーがずらっと並ぶ本作は愛や海という広大で漠然としたものが持つ神秘性、熱い愛が生とするなら冷たい海が死、または凪ぎと嵐の交互に訪れる人生そのもの、これらの大きなテーマを旅しながら見つめ直す、そんなジュサーラの心境が表現されたアルバム。眼前の光景に添い遂げるようなスピリチュアルな歌唱はレアンドロ・ブラガのピアノや共演作もリリースしたルイズ・ブラジルやアルチュール・ネストロフスキのギターと深みのあるアンサンブルを聴かせる。また、新世代のサンバSSWたちにもスポット・ライトを当てており、キト・ヒベイロ作のm-4、アドリアーナ・カルカニョット作のm-5、ペリールイズ・アリストンのm-7、ホムロ・フローエスーグスタヴォ・モウラのm-11など書き下ろし曲の多数を収録。これら後半のトラックではリズムがきめ細やかに構築され、モダンな中にも優しさを感じさせる仕上がりとなっている。ルイズ・ブラジルのバンドからタミマ・ブラジル(ds)、ベテランのベース奏者ジョルジ・エルダーをはじめ、ドメニコ(m-8)、ランラン(m-10)、ジュサーラの姉妹クリスチーニも参加。サルヴァドールの海と人間愛を感じさせる好盤!