ちょっとヒネリの効いたクール・ジャズをプレイするブラジル・サンパウロのバンドでヌーヴェル・キュイジーヌという存在を覚えていらっしゃる方もいるかも知れません。
そこのヴィブラフォン奏者がグガ・ストロエテールです。'87年に1st をリリースしたヌーベル・キュイジーヌと平行して、自身が率いるHBことハート・ブレイカーズ名義での作品づくりも行って来ているのですが、今作はこのHBがジャズ・コンボ編成 (vo /vib / g / ts, ss / p / cb / drs) にて全曲デューク・エリントンをカヴァーするという企画。ヴォーカリストにはヌーベル・キュイジーヌの昨今のライヴでもお馴染みで、'09年にフォーキーなソロ・アルバムをリリースしたエステーラ・カシラッティが起用されており、フレッシュな風を送り込みます。ヴィブラフォンがリーダーとなるアルバムということで、もちろんアレンジにも未だかつて為されなかったエキセントリックさが際立ちます。要所要所で顔をだすボサ・ノヴァやサンバ・ジャズはお手のもの、少ない音数で繰り広げる展開・構成もかなり独自性の強いもので、"Caravan" も"A列車で行こう”も”Mood Indigo"や"It Don't Mean A Thing"も「こんなアレンジ聴いた事ない」と驚かされる仕上がり。