ロサリオ (アルゼンチン、サンタフェ州)出身の倍音と憂いをたっぷり含んだソフト・ヴォイスの男性シンガー・ソングライター。生ギターと現代の生活における雑踏の生活音が入り混じったフォークトロニコ。トム・クルーズのポスターにキスする少女のジャケットも、デスクトップ・フォルダーに扮した曲目リストも、オーディオ・チェック信号で始まる一曲目も、すべてこのポルによるシニカルな視点の提示だといいます。エレクトロニクスに頼り切ることによってヒットチャートの音楽は歌本来の意味を失いつつあるのではないか.....。ここでポルはセンス良く音色を配置したエレクトロ・サウンドとナイロン弦ギターの表情ゆたかな音色を掛け合わせ、柔らかな語り口で日常の憂いた感情を唄に載せると、コラージュされた雑多な音も多重録音の唄声も歩調を合わせ軽やかに駆け始めるのです。ヴァイオリンやベースに声のサンプリングと構築するサウンドそれぞれが深く意味を持ち、それらが組み合わさって世界が出来上がる。現地紙によると、「90年代に提唱された”静寂こそが真のラウドである”の精神が時を経て結実、コワフールらと同様の新しいエッセンスを感じずには居れない。」と好評。そしてインタヴューで注目しているアーチストとして、
リサンドロ・アリスティムーニョ、ドレクスレル兄弟(
ホルヘ&
ダニエル)の名を挙げ、彼らのモダニティに共感していると述べています。耳に馴染む心地よいソフト・ヴォイスとフォークトロニコのサウンドが傑作の一枚!