Lisandro Aristimuno / 39°

型番 LAL060
販売価格 2,365円(税込)
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霞掛かったハスキー・ヴォイスとエレクトロニクス、そして生ギターの倍音を活かした音作りで斬新なフォルクローレトロニコを展開してきたリサンドロ・アリスティムーニョ。持ち前の雨情風景、39度の発熱メランコリカでどんな新しい景色を我々に見せてくれるのか?【マリアナ・バラフ、リリアナ・エレーロ参加。】

「39グラードス=39度」一風変わったタイトルであり、布団に包まった男は何をしているのか?疑問に思う所も多いことでしょう。このアルバムのコンセプトは「39度の熱」、寝ているのは本盤の主役リサンドロ・アリスティムーニョが熱に冒されている日を再現したものです。奇しくも南極の氷が溶け出して環境問題も叫ばれるアルゼンチンはパタゴニア地方は南緯39度から南を呼び、ネグロ川河口の街ビエドマ生まれの28歳になるシンガー・ソングライターのバックボーンをも想起させるのです。リサンドロはFMラジオの電話インタヴューに出演して、本アルバムのコンセプトについて語りました。「39度の高熱に冒された時に、身体は浮いたような感触に捉われ、狂乱の境地に陥った。そうすると普段は思いもよらなかった視点、アングルで物事を捉えることが出来たんだ。熱を出した最中に書き留めたアイデアを元に創作したんだ。」社会や日常生活から隔絶された”熱で寝込む”という状況。過ぎては去る半ば躁鬱状態を表すかのように、アルバムの中でリズムやテンポ、曲想はコロコロと表情を変えて行きます。
 フォルクロリックなカホーンと手拍子に依る反復リズムの上に、チェロやチャランゴにトロンボーンという従来の楽器をイレギュラーに切断した斬新なフレーズで彩り、”僕は君の光を見た”とメンドーサの空と重ね合わせて唄われるm-1、アルペジオと共にゆっくりと飛翔してゆくかのようなm-2"羽根”、フォルクローレのリズムを再構築してモダンに聴かせるパーカッション奏者 - マリアナ・バラフ参加のm-3”誰かの隣”、フォルクロリックなタップダンスでリズムを刻むm-4の”39度”と新しい唄と最先端のテクスチャーに包まれながらも多様なルーツ・リズムを個性として自身の表現に活かす技は、様々な先達との共演や3枚目となる本作までの道程にて磨かれ、さらに輝きを増しています。泥臭さというよりも洗練されたと修飾した方がピンと来そうな独特のポップ観は、ベッドで熱を帯びた時に見る幻覚をモチーフにしたm-6"過剰”にて顕著で、ファンタジックな風景を魅せてくれます。先だって来日したフォルクローレの大御所女性シンガー - リリアナ・エレーロが参加して、大地から沸き立つような歌唱を聴かせてくれるm-8"君の香りはプラスティック”は、チェロの多重録音がまるで21世紀の南米版"エリナ・リグビー"と呼ぶに相応しい逸品。 最初にラジオで発表されたm-10"今日を飾るために”などはプログラムされたエレクトロ・エレメンツの上を繊細なタッチで幾重にも折り重ねられたチェロやギターの層が、グレー・トーンの唄に奥行きを与えます。異色なタンゴ歌手クリストバル・レペットを迎えたm-11”ふくろう”から最終曲"別れ”までは、熱にうなされていたのがようやく眠りにつける、そんな安堵感にも似た感情をもたらしてくれます。全編を通して聴くと、健常な状態から熱を出して幻覚を見ながら眠りにつく、そのような一つのストーリーを絵巻物の様に描きだしているのです。
 哀愁を感じさせる唯一無比のソフト・ヴォイスと素晴らしいアイディアの数々、1stから親密な時間と発想を共有してきたバンド”Azules Turquesas"(ターコイズ・ブルー)の面々 - 兄弟のロシオ(per, cho)、レイラ・チェロ(cello)、カルリ・アリスティーデ (g, ronroco)、マルティン・カサード(ds, per)らと共に衝動を繊細な表現の域に高めた、ポピュラリティ溢れるオススメの盤であります。[大洋レコード 伊藤亮介]



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