17/8/10売り切れました。
リオ生まれ33歳の新世代ブラジル音楽に属するシンガー・ソングライター、フェルナンド・テンポラォンの新作には、カシン(eg, synth)、アルベルト・コンチネンチーノ(eb)、ドメニコ・ランセロッチ(drs)、ドナチーニョ(key, J.ドナートの息子)らがパーマネントに名を連ねます。アルバムに楽園という意味の「Paraiso」を冠すだけあって、楽観的に突き抜けたポップ・センスとヴィンテージにウェザリングしたサウンドが出会うというブラジル産インディー・ポップ作品となっております。
元はサンビスタとのパートナーシップでキャリアをスタート、純ソロ作品としては現地音楽誌で軒並み高評価を得た「De Dentro da Ganeta da Alma da Gente」に続く2作目。S.S.W.としても活躍するマルセロ・ジェネシのアコーディオンが良いムードを醸し出す冒頭"Dança"、そして特筆すべきはミナス出身で珠玉のインディー・フォーク・アルバムをリリースしているセーザル・ラセルダとの3つの共同コンポジション。m-3"Afinal"、m-4"Sem Fantasia"、ジャキス・モレレンバウンのチェロが入ったm-6"Um Milhão de Novas Palavras"、これらの秀逸なメロディとハーモニーは普遍的に人を惹きつける力を持っています。コケティッシュなシンセの音色にカシンの「Futurismo」などとの共通項を見出せるm-7"No Ar"、現代版へと昇華されたトロピカリズモが息衝くチアゴ・カメロ(作家/マルセロ・カメロの兄弟)との共作m-10"Tudo O Que É Tristeza"や、ドメニコとダニロ・カイミのアルバムを制作したベース奏者ブルーノ・ヂ・ルーロとの共作m-11"Dois"などなど、楽観的なカリオカ気質を体現したかのように浮遊感漂う楽曲が揃います。カシンやアルベルト・コンチネンチーノ、ドメニコらがブラジル版ティン・パン・アレイとなって個性溢れるプロダクションを施した幾つかの作品中でも、特に望ましい結果が得られた好例と言えるのではないでしょうか。